樹皮下日記

枯れ木こそ山のにぎわい…

灰色バックでの標本撮影

最近、時間をみては標本写真の撮影を行っている。
9割趣味なので基本的に楽しく撮り進めているのだが、一部のヒラタカメがどうにもうまく撮影できない。具体的に言うと、ヒメヒラタカメ類やアカヒラタカメなどだ。
実際の見た目より、変に明るく…というか、明色部の透明感が増し、コントラストが強く写ってしまう。今まではヒメヒラタカメばかり撮っていたので、そんなものだと思っていたが、どうもおかしい。
少し考えて出た答えは…「薄すぎて透けている」
薄すぎる故に、撮影時のバックに反射したフラッシュ光で透けているのだ。

 参考)

f:id:juhika:20200131163423j:plain
シモフリヒラタカメ。同一個体である。
左:デジタルマイクロスコープで撮影(2017)
右:一眼で撮影(2019)
画質の差は歴然だが、より実際の見た目に近いのは左だ。

ちなみに、現在の撮影方法(未マウントのもの用)は以下の通り。
機材:Canonのフルサイズ一眼、mp-e65、ツインフラッシュ、自作ディフューザー

コピースタンドに微動装置を設置し、その上に背景用紙をかぶせる。
影が出ないように無反射ガラスの裏にシャーレをつけて高さを出し、それを背景用紙上に乗せる。
標本を無反射ガラス上に置き、撮影。

f:id:juhika:20200131163436j:plain

 

フラッシュの反射を抑える方法………
そういえば、灰色バックで撮影してらっしゃる方ってたくさんいるよな…
背景の色を濃くしてみるか!

ということで試し撮りして比べたのがこの図である。

f:id:juhika:20200131163448j:plain
ミナミヒメヒラタカメムシ♀。
同じ個体を、背景用紙を変更した3条件で順番に撮影した。
背景用紙は、左から、白(マットフォトペーパー)、20%グレー、40%グレー(それぞれフォトショ→普通紙に印刷)である。
背景の用紙以外の各種設定は全く変えていない。
画像編集も、背景の削除にとどめ、レベル補正等の加工は一切行っていない。

正直、差に驚いた。全く別のものが写っているように見える。

これまで何も考えずに白背景で撮影していたが…灰色バックすごい。
反射軽減効果が素晴らしいのに加え、白バックでほとんど白飛びしまっていた毛がかなり写っている。

20%と40%で比較すると、より実際の見た目に近い色を出せているのは40%である。ただ、毛の回りがバックの濃い色に縁取られてしまい、今の自分の技術ではこれを消す(もしくはなじませる)ことができない。総合的に判断すると、20%が勝っているように思う。それか、間をとって30%を試す…?

ちなみに、上の図はバックが30%グレーだが、白にすると…

f:id:juhika:20200131163503j:plainこれはこれで全く印象が違う。
40%は白バックだと正直、実用的ではないレベルだ。

………………

結論、灰色バック撮影はすごい。